先生の絵。

2/18
930人が本棚に入れています
本棚に追加
/114ページ
「百花ちゃん。どうしたんだね? ため息を吐いたりして……悩みでもあるのかね?」 車椅子で移動していた患者の清水さんに 心配された。 「あ、すみません。 なかなか難しい性格の人と上手く付き合うことが 出来なくて……つい悩んでしまって」 「おやおや。百花ちゃんでも 人間関係に悩むんだねぇ……」 清水さんがフフッと笑った。 そんなに私が人間関係に悩むのは、 不思議かしら? うーんと考えていたら 「難しくても……同じ人間だから 少しずつでもお互いに歩み寄るしかないよ。 最初は、難しいかも知れないけど……根気よく 話しかければ、いつか分かり合えるものさ。 私や主人のようにね……」 そう言ってアドバイスしてくれた。 「清水さんも旦那さんとの 人間関係に悩んだのですか?」 確か清水さんの旦那様は、 早くに病気で亡くしたはず……。 「えぇ、気難しい人だったから。 でも悪い人ではなかったのよ……不器用だけど いつも何やかんやと言いながらも 私のことを気にかけてくれて。優しかったのよ」 フフッと話す清水さんは、楽しそうだ。 きっと素敵な旦那様だったのだろう。 いいなぁ……。
/114ページ

最初のコメントを投稿しよう!