先生の絵。

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えっ!? せっかく描いたのに……。 そう思っていたら 藤沢先生は、私にその絵を差し出してきた。 「やる。これは、 お前のために描いたものだ!」 えっ? 私のために描いてくれたの? 何で……。 「あ、ありがとうございます。 でも……何で?私に……これを」 不思議に思い尋ねてみた。 すると少し困った表情をしながら 「気持ち良さそうに眠っている三宅を見ていたら 何だか……無性に描きたくなっただけだ。 いらないなら……捨てろ」 そう言うとスケッチブックを閉じて 立ち上がってしまった。 「夕食なら義母さんが作ってあるから 食べにおりて来い」 藤沢先生は、立ち去ろうとする。 あ、待って。行っちゃう……。 私は、咄嗟に先生の服を引っ張った。 「なんだ……?」
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