青い感情

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 勇敢なのか馬鹿なのか分からない友人を待ちながら、ふと人混みの中に目を向けると――いた。手汗が止まらなくなり、胸が熱くなる。駄目だと分かっているのに気持ちを抑えられない。何色とも言い(がた)いぐるぐるした感情が心を支配する中、彼女が僕に気づいた。 「あれ?どうしたの?いつも購買部で買わないのに……。お弁当忘れたの?」  怪訝(けげん)な顔をして近づいてきた。 「……青子(あおこ)。……いや、友人の付き添い。」 「だよねー。忘れてるはずないもん。」  屈託(くったく)ない笑顔を浮かべながら青子は僕の肩を軽くつつく。つつかれた右肩が熱くなる。僕はいよいよ変態だ。 「そういえば、もうすぐ夏休みだよね。せっかくだし海にでも行かない?高校生になってから、まだ一度も行ってないよね。」 「あぁ、そうだな……。期末テストも終わったし、羽を伸ばすか。」 「そう来なくっちゃ!何なら友達とか誘っていいよ?せっかくだし私も誰か誘おうかなー。二人じゃつまんないもんね。」 「……あぁ。」  二人きりで海という淡い期待は無残に打ち砕かれた。そうだよな。年頃の女の子が男と二人で行くはずがない。こういうのってすぐに噂になるし。 「それじゃ、約束よ?」  去り際に手を振りながら人混みの中へ戻って行った。僕は深呼吸をした。あまりにドキドキして満足に呼吸できなかった。 「待たせたな!……って、お前なんか顔赤いぞ?具合悪ぃの?」 「な、何でもない!早く食べよう。」     
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