青い感情

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「……い。お……。おい!青野!」 「へっ?」 「何ボーッとしてんだよ。さっきから呼んでんだろ?」 「あぁ……ごめん。何でもない。」  親友の呆れた顔を見て、空の彼方へ飛んでいた意識を戻す。気がつけば四時間目が終わり、教室は昼休みの喧騒(けんそう)に包まれていた。 「……で?何?」 「何?じゃねぇよ。もう授業終わってんぞ。早く昼行こうぜ!購買のパン売り切れちまう。」 「はいはい。」  机の上の教科書やノートやらを片付け、昇降口近くにある購買部へ向かう。  購買部に着くと既に大混雑していた。この中を分け入って行くと思うと気が重い。やる気満々で進んでいくのを尻目に、僕は少し離れたところで物思いに(ふけ)る。  僕がボッーとしていたのはとある人を見ていたから。こう言うとストーカーみたいだが、事実それに近い。校庭で走っている姿をつい目で追いかけてしまう。それは校内ですれ違う瞬間も同じ。彼女の姿を見かけるたびに追ってしまうのだ。僕は病気だと自覚している。――病名は"恋(わずら)い"。分かってる。     
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