青い理想

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 一人鼻を抑える僕を置いて他の四人は海へ走っていった。気がつけば僕は荷物番にされていて悲しくなったが、青子の水着姿を見れただけで大満足だ。甘んじて荷物番を引き受けよう。人が密集していなさそうなところにシートとパラソルを設置する。荷物を一通り整理して、僕は海ではしゃぐ青子を観賞する。  あぁ、何て幸せなのだろう。この時が止まればいいのに――。 「はぁー!遊んだ!疲れたなぁ。」 「青野?!お前さっき俺の顔面にビーチボール思いっきり当てただろ?!」 「避けられないお前が悪い。」 「んにゃろう!覚えとけよ!」 「……あはは!まぁまぁ。一通り泳いだしビーチバレーもしたし、お昼にする?」 「青子に賛成。あたしも遊び疲れちゃったー。」  青子が連れてきた女友達も心底疲れた顔をしている。照りつける夏の日差しは一層厳しくなっていた。海もぬるいくらいだ。左手首の防水時計は午後十二時過ぎを示している。ちょうどいい時間だろう。  シーズン中ということもあり、近くに海の家があった。とりあえず人数分の焼きそばを買い、青子たちが道中で買ったお菓子や惣菜を並べて食べる。そこら辺で売ってる物なのに、海で食べると妙に美味しく感じた。不自然にならない程度に青子を見ながら、僕は良からぬ妄想を展開する。
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