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君と、君の夢を乗せた機体が、
轟音とともに真っ青な空に吸い込まれて行く。
機体が見えなくなっても僕は、しばらくその空を、
――君の夢の行方を、
展望デッキから見上げたまま、動けないでいた。
空港まで君を見送ると決めた時、弱虫な僕は心に誓った。
君の背中を最後に押すのは、僕でありたい。
だから。
待ってる、なんて言わない。
電話番号も訊かない。
自分で自分にかけた、未来を見るための、呪文。
でも僕はきっといつまでも、ずっと忘れない。
夢に向かうあの背中を乗せた、白く輝く翼を。
その行く先に広がる、目に沁みる、この紺碧を。
今日、君が飛び立ったこの空を、
きっと、忘れない。
Fin.
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