男。

27/27
76人が本棚に入れています
本棚に追加
/55ページ
(はる)・・・アナタとなら・・・死んでもいい・・・」 そう微笑み、囁かれた華世(かよ)さんは本当に綺麗だった・・・。 それはまるで百花の上を舞い踊る1匹の胡蝶のように・・・。 または人ならざるモノ・・・例えばそう・・・美しく微笑む無慈悲な死神のように・・・。 「アナタが・・・華世(かよ)さんがそれを望まれるなら私はこの命、どこへでも投げ捨てましょう」 私はそう答えて微笑み、自分から華世(かよ)さんの唇を奪っていた。 もう何度も重ねた唇・・・。 なのにいつも違う感覚を覚える・・・。 そして、その感覚に溺れ、もっととねだる私は・・・。 「此処は鳥籠。けれど、今の私にとっては都。(はる)に・・・出逢えたから。早く・・・黒姫(こっき)も新しい都を見つけられるといいな・・・」 そう言われて微笑まれた華世(かよ)さんに私は何度も唇を寄せた。 今までのことを忘れさせようとするかのように・・・。
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!