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「春・・・アナタとなら・・・死んでもいい・・・」
そう微笑み、囁かれた華世さんは本当に綺麗だった・・・。
それはまるで百花の上を舞い踊る1匹の胡蝶のように・・・。
または人ならざるモノ・・・例えばそう・・・美しく微笑む無慈悲な死神のように・・・。
「アナタが・・・華世さんがそれを望まれるなら私はこの命、どこへでも投げ捨てましょう」
私はそう答えて微笑み、自分から華世さんの唇を奪っていた。
もう何度も重ねた唇・・・。
なのにいつも違う感覚を覚える・・・。
そして、その感覚に溺れ、もっととねだる私は・・・。
「此処は鳥籠。けれど、今の私にとっては都。春に・・・出逢えたから。早く・・・黒姫も新しい都を見つけられるといいな・・・」
そう言われて微笑まれた華世さんに私は何度も唇を寄せた。
今までのことを忘れさせようとするかのように・・・。
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