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男。
「お鈴! お鈴!? どこに居るんだい!? お鈴!?」
怒声を思わせるその声で私の名前を叫び呼ぶのはやり手のお登子さんだ。
お登子さんのその呼び声に私は返事を返さなければと思いつつも返事を返せれずにただ甘い吐息を漏らし、その甘い吐息とともに妖しい水音を薄暗い部屋の中に響かせていた。
「春? いいの? お登子さんが呼んでいるよ?」
そう私の耳元で囁かれた言葉はしっとりと潤んでいて耳に吹き掛けられる息は生々しい熱を帯びていた。
それに答えるように私の中はうねり、薄暗い部屋の中に響く水音は湿り気を増していた。
「こんな・・・っ・・・こんなことをシているときに・・・ぁッ・・・返事なんてできませんっ!」
私はそう言ってだらしなく開かれた足を閉じようとしたのだけれど、そんなこと、紅姫さんが許してくださるはずなどなかった。
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