2、

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 東京駅で中央線に乗り換え、西へ向かう。  そして出発から3時間後、僕はようやく目的地の駅に降り立った。  うろ覚えでしかない道のりを進み、ちょっと迷ったけど、なんとか光弦の祖父母の家を見つけることができた。  記憶よりちょっと古ぼけてはいたが、2階建ての青い屋根の家はまわりより大きくて庭も広い。  よく手入れされた庭にはヒマワリが咲いていて、どこからかジージーやかましい(せみ)の声が聞こえる。気が遠くなりそうなほど、夏を感じた。 「兄さん」  大輪のヒマワリの陰から、見慣れた顔がのぞく。  頬がこけるほど痩せた顔の中で、切れ長の細い目が、射るような光を浮かべて僕をにらんでいた。 「なんで来たの?」  視界がぼやけ、光弦の顔もあいまいに霞んだと思ったら、目から涙がこぼれ落ちていた。 「俺、もう一緒には暮らせないよ?」  光弦の声は硬かった。  なにか言わなければと思うのに、乾いた喉がひりついて声が出てこない。そういえば朝から飲まず食わずだった。 「兄さんのところには帰らないから」  意識がふいに遠のいた。
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