0人が本棚に入れています
本棚に追加
「でも、ヒナちゃんの症状から考えて、その……言い方は良くないですが、はるくんの事も忘れてしまうんじゃないですか？なんでそこだけは覚えているんですか？」
「それは先生方もわからないとか、ありえないっけ？言っていたわね……でもね」
「はい？」
「でも……あるんじゃないかな？そう言う事って」
「……？」
「一番大切な事は記憶じゃなくて心が覚えてるって」
「あ、何となくわかります」
「ヒナちゃんにとって、はるくんは本当に大切だったのね……ヒナちゃんね、メモ帳持ってるでしょ？」
「え？あ、はい」
「あれね。あの日から新しい事、書かれてないの。ヒナちゃんはね、ずっとあの日に居るのよ……」
「……それって良いことなんでしょうか……？」
「そうね……良いとも悪いとも言えないわ。ヒナちゃんに真実を教えればヒナちゃんは苦しむ。はるくんを忘れてしまうかもしれない」
「でも……」
「教えないまま、あの日に居る事が幸せであるかもしれない……やっぱりそれは私達にはわからないわ」
「そう、ですね……」
さ
最初のコメントを投稿しよう！