私の記憶と想いと出会い。

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あ、忘れてました。 私はどうやら病院に住んでいるみたいです。 住むって言い方はおかしいかもしれないけど 私にはこれが一番しっくり来る。 あ、今も病室の中なんだけどね。 と、不意にドアをノックする音が聞こえた。 「はい」 「入るわよ?ヒナちゃん」 私が返事をすると外から声がした。 「えっと、はい」 入ってきたのは服装からして看護婦さんのようだ。 「ご飯の時間だから残さず食べてね」 優しそうな笑顔で言われた。 だからこそ気になる事を聞いてみた。 「あの……」 「なぁに?」 「もしかして、私、いつも残してますか?」 もし、そうだったなら申し訳ない……。 「あ……ううん。大丈夫。ちゃんと食べてくれてるわ」 「そう、ですか」 安心した。 だけど……私は……こんな事さえ思い出せない……。 でも、もう少ししたら、思い出せない事に悩む事さえ思い出せない。 それは……ある意味、幸せなのかもしれない。 だって毎日が新しいから。 辛い事も覚えていなくて良いから。 でも……なら……。 楽しい事は……? 大切な……想いは? メモに書いてはいる。
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