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「あ……いえ。何でもないです」
そうだよね……いつもお世話になっている人を忘れたなんて言えないよね。
でも……なんか変だな……。違和感。
いつもならもう少しは長く覚えていれる気がしたんだけど……。
「あ、そうだ」
佐竹さんが優しそうな笑顔を崩さず言った。
「どうしたんですか?」
「今日の午後ね、新しい子が入ってくるの」
「新しい子?」
「ヒナちゃんと同じ歳の男の子よ」
「私と同じ歳……?」
メモ帳をめくると私の歳が書いてあった。
私は今年で15歳みたいだ。
「15歳?」
「そうよ。名前は小春くんって言うの。春日 小春くん」
「かすが こはる?はるくん?」
「そう、ハルくんね。仲良くしてあげてね?」
「はい。えっと……」
どうせ……そんなに長くは覚えていられないよね……。
ごめんね。はるくん。
「どうしたの?」
「その、はるくんはどうして?」
「入院したか?」
「はい」
「ごめんね。それは勝手には教えられないの」
「あ、そうですか……」
聞いても覚えているのは無理だしね……。
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