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知矢がときめきとちょっぴりの不安を抱えながら、典夫の隣で歩いていると、後ろから声がかけられた。
「典夫くん!?」
「え?」
名前を呼ばれた兄が振り返り、それにつられて知矢も振り向く。
声をかけてきたのは三人の女の人。
綺麗にメイクをし、お洒落に着飾っている。
「……ああ」
典夫が素っ気なく返事を返した。
どうやら兄の大学の女子学生のようだ。
典夫は冷たい美貌のまま、笑顔も見せずに三人の女の人と対応しているが、女の人たちのほうはそれこそ全身から『典夫君ラブ光線』を発射している。
……お兄ちゃんはすごくかっこいいから、女の人にもてるのはしかたないけど、やっぱりやだな……。
キャーキャーと兄を取り巻く女の人たちをおもしろくない気持ちで見ていると、彼女たちの一人が知矢のほうを見た。
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