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「典夫くん、いっしょにいるの友達? うちの大学の学生じゃないよね?」
兄はチラッと知矢のほうを見てから、女の人たちに向かい素っ気なく答えた。
「…………弟だよ」
「えー!?」
女の人たちはそろって歓声をあげる。
「典夫くんの弟さんー? やだー、かわいい!!」
女の人のこういうノリは、知矢は苦手だ。一歩後ずさって、それでも一応、「こんにちは……」と挨拶をし、最低限の礼儀だけは示した。
「こんにちはー! ほんっとかわいい!! 中学生?」
一人の女の人に言われて、ムッとする。
「高校生です……」
「あら。ごめんねー。あんまりかわいいから」
「でも典夫くんとはあんまり似てないのねー」
別の女の人の言葉に今度はグサッと傷つく知矢。
そりゃクールビューティーなお兄ちゃんと僕は全然似てないよ……。
突然の女の人たちの乱入に、大好きなお兄ちゃんとのデート中だというのに、知矢は少々いじけモードに入ってしまう。
「オレたち、急ぐから」
典夫の不機嫌そうな声が割って入る。
「あ、ごめんね、典夫くん」
三人の女の人たちはすごく名残り惜しそうに、典夫のことを見つめている。
そんな彼女たちを半ば無視して、兄は知矢を促し歩き出した。
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