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「うん……分かるよ、知矢。本当はオレも同じだから」
「えっ……?」
「だっておまえは自分の魅力にまったく自覚がないし。あのな、はっきり言うけど、今日あった女の子たちより、オレが知る誰よりも、おまえのほうが断然かわいいし、綺麗だよ」
「それはお兄ちゃんのひいき目すぎるよ」
知矢が否定すると、典夫は大げさに溜息をついた。
「ほら、やっぱり自分の魅力にまったく気づいてない……その無防備さがオレには不安なんだ。女にも男にもちょっかい出されそうで」
「そんなこと……」
あるわけないと続けようとしたが、兄の唇で言葉は封じられてしまった。
「んっ……ん……」
たっぷり深いキスを交わしてから、典夫が知矢の耳元で熱く囁く。
「おまえを宝箱に入れて、誰にも見せたくない……知矢……」
「お兄ちゃん……」
兄が知矢を抱きしめたままベッドに倒れ込む。
典夫は腕の中の知矢に言った。
「今夜はおまえが自分からオレを受け入れて……? 知矢」
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