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樹「心の中にたったひとつ椅子があるという話があるんだけど」
ほの花「ふぅん。醤油とって」
樹「はいどうぞ。そう、で、椅子。大切な人だけが座ることの出来る椅子。とっても素敵な椅子かもしれないし、ありふれた椅子かもしれない」
ほの花「うん」
樹「その椅子はひとつだけだけど、似たような椅子が無数にあるかも。その椅子に誰かが座っている? もしかしてボロボロかな。誰かの手紙だとか、アルバムだとかが乗っている? さぁあなたの椅子はどんな椅子? っていう」
ほの花「で、あんたの椅子は?」
樹「それは、自分では分からないこと。今日の玉子焼き神がかって美味しくない?」
ほの花「ん、美味しいよ。とってもね。焼き加減もちょうど。……玉子焼きに大根おろし添えるのってさー、一人だと面倒だからさ、しないんだけど」
樹「ああ、うん、わかるよ」
ほの花「たまにはいいよね。うん、嬉しかった、し、美味しかった」
樹「味噌汁とか面倒じゃない?」
ほの花「一人分ならインスタントの方が楽だと思う。うちはそうしてるかな」
樹「あと、そうだな、オムライスとか……、いつもケチャップライス余らせるから」
ほの花「ふーん……きちんと自炊してるんだねぇ」
樹「元々、嫌いではないから」
ほの花「……ああ、日替わりだ」
樹「うん?」
ほの花「椅子」
樹「まだその話し続いてたの」
ほの花「そっちから始めたんじゃん。で、あんたの椅子なんだけど。話し、続けていい?」
樹「どうぞ。麦茶ちょうだい」
ほの花「ん。あんたの、椅子は、日替わりだ」
樹「へぇ」
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