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ほの花「1日1人、椅子に座らせる。白い椅子。ええ、まあ、素敵と思う。彫刻が細かい。猫足。ロココ調」
樹「ん……、」
ほの花「言ってしまえば夢見がちな女の子が好きそうかな。レリーフは蔓薔薇、白いけど角度と光の当たりによっては薄くピンクに光る。遊色」
樹「ずいぶん細かく言うね」
ほの花「ええ。一晩一緒のベッドにいたんだもの」
(沈黙)
樹「……レモンは好き?」
ほの花「嫌いでは、ないけれど」
樹「じゃあ、ちょっと待ってて。時間大丈夫?」
ほの花「今日は、うん、大丈夫」
樹「レモングラスって知ってる? ハーブなんだけど」
ほの花「知らない」
樹「僕は鉢植えで植えてるのだけど。上手くやれば冬も越せるし、生命力も強いし、香りがいいから、」
ほの花「グリーン・フィンガーズ」
樹「まさか! 能力なんて要らないよ。土を整えて、必要な時に水をあげて、不要なものを取る。終わり」
ほの花「そ。あたしは、絶対にしないけど」
樹「べつに、欲しければいつでもあげるし、ああ、売ってるか。はいどうぞ。砂糖とはちみつ」
ほの花「ありがと」
樹「ポットに熱湯入れて、葉っぱ入れればおしまい。摘みたてって素敵だと思う。いつものことなんだけど、たいしたことないんだけど、素敵じゃないかな」
ほの花「うん……」
樹「都会育ち?」
ほの花「まあ、うん。そっちは」
樹「田舎育ち」
ほの花「田舎育ちの人ってもっと純朴なイメージだったんだけどな」
樹「純朴だろ?」
ほの花「冗談」
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