0人が本棚に入れています
本棚に追加
やっぱり、そうなんだね。
そして、炎が上がった。
「ひ、人が急に燃えた!」
「え、ちょ、だ、誰か119に!」
「マジこれ。撮ったほうが良いかな?」
周りは混乱ではなく、混沌としていた。
炎はなおも勢いを増しているのに。
誰もが見ているだけだった。
そして、しばらくして、そこには灰だけが残った。
また、人々は歩きだす。
駅から、巣穴から、出て行く、働き蟻のように。
国という女王蟻に貢物を探しに行くように。
雨が降ってもめげず気にせず、前に壁があるならただそれを避けるだけ、瓦礫が降ってきてもどかして進む。
かわらない、おなじだった。
ただ、蟻よりも自分に返ってくるものは少ない。ただそれだけのこと。
最初のコメントを投稿しよう!