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誰かの悪戯か、
音楽の先生がAM二時とPM二時を間違えてセットしたのだろうという憶測を立てた瞬間、
凄くガッカリした。
挙句のはて人体模型だ。
夜中学校を走り回る人体模型の噂。
そもそも校長の石像と被っているし。
凄く足の速い模型に捕まると、
理科室に閉じ込められちゃうんだってユミは怖がっていた。
タダオは足が速いし、
僕も鬼ごっこは得意だ。
ユミはどちらかと言えば読書とかが好きな女の子だから絶対捕まると怖がっていた。
タダオも僕もユミを置いて行ったりしない。
絶対守るぞと言ったのだけど、
信用はないみたい。
確かに、
普段スカートめくりばかりしているタダオが助けてくれるとは僕も思えない。
人体模型に関しては、
模型が処分されていた為どうにもならなかったんだ。
学校にないんだから学校の怪談話になる訳も無く、
都市伝説が昔からあるので、
きっと昔は走り回っていたのだろうと無理やり終わる怪談に何となく、
人体模型がかわいそうだと思った。
「噂はあくまで噂なのだ」
タダオの言葉に納得し、
頷いた。
夢のある事を突き詰めたら現実には、
何も無い事が分かってしまった小学五年生の夏休み。
「宝くじもそうだよね。
夢を買うんだってパパ言うけど、
当たらない現実見るだけだもんなぁ」
寂しそうにユミは言う。
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