1人が本棚に入れています
本棚に追加
/4ページ
2度目にリュウを見たのは、小学校低学年のとき。
その日は雨が降っていて、ぼくはお気に入りの青い傘を差していた。
強い突風に思わず手を離してしまって、傘が空を飛ぶ。
地面に転がったところを急いで追い掛けたけど、手に取ろうとしたときにバキバキと目の前で音が鳴った。
傘は見るも無惨に折れ曲がり、綺麗な青い布部分が骨組から見えない何かの力で、引っ張って剥がされていく。
悲しい気持ちと恐ろしい気持ちが、ない交ぜになった。
剥がされた布部分は、何かがむしゃむしゃと頬張ってゆくみたいに、少しずつ何もない空間に消えてしまった。
ずぶ濡れになりながら帰って、ぼくの姿に驚く母へ話したが、信じて貰えないどころか叱られたっけ。
最初のコメントを投稿しよう!