色は戻らないらしい

日焼けした青

この国は湿気が多い。
だからこの季節になるとあの形の雲ができるのか。

空に描かれた強烈なコントラストは外では鬱陶しく思うばかりだけど、室内にいれば美しくも思う。

この時期になって学校に来ているのは補習がある生徒、なにか委員会で来ている生徒、物好きな生徒、あとは、部活動で来ている生徒くらいだ。

私は部活のせいで毎日性懲りもなく暑い中歩く。

なぜお盆真っ盛りにコンクールをやるのかは私には全く理解できない。お盆だったらみんな休みたいでしょう。普通。

テニス部のコートを脇目に校舎へ入る。この瞬間がとてつもなく苦手だ。クーラーが効いていない玄関口は暑すぎる。クーラーが効いている教室だったらまだいいのだが。靴を脱ぐのもだるすぎる。階段を登るのも本当にだるい。暑い。漸く部室だ。

今週の練習場所は廊下だ。運動部が練習しているところも見える。あ、クラスメイトもいる。
運動部は素敵だと思う。なんか頑張ってますって感じが。まあ文化部だって頑張ってるんだけどね。
運動部って青春って感じがとってもする。
そんな運動部を眺めながら暇な基礎練習をこなす。

ここの廊下は日当たりが悪いせいかいつも少しひんやりしている。薄暗い廊下の青と空の青は大違いだ 。
日に照らされる運動部の人の肌が眩しい。んーでもちょっと暑苦しいなあ。
気晴らしに休憩時間に見に行ってみようかな。友達もいるし。

コンクールの曲はもう何ヶ月も練習してるからいい加減指が覚えた。もう飽きた。つまんない。早く休憩時間になってほしい。

やっと休憩時間になる。今日はグラウンドに行くんだ。友達いるしね。

外にでる。三秒で後悔する。暑すぎる。
あ、でも運動部も休憩っぽい。知り合いもいるし近づこう。
あ、気づいた。ひとりくる。
あの男の子はたしかクラスメイトだ。

運動部の子って眩しいなあ。青と白を背負って走る彼は本当に絵になった。私はずっとこの色を覚えていたいと思った。

ところで光の三原色の原理はしってる？
人間の目は三色の光しか認識出来ない。赤、緑、青の三色だ。そういう細胞が目にはある。
この細胞はどうやら日焼けするらしい。聞いた話だから確証はない。日焼けするとどうなるか。全ての色が少しだけ薄く見えるらしい。

だから今、彼の顔をこの季節に見ても後ろの白と青のコントラストは昔ほど強烈でない。