2045年7月 東京

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「時間が惜しい。質問に戻ろうか。山下公園で、君は何をしていたのかな?」 「別に何もしてませんよ」 アオはとぼける。 その様子に公安は嗤った。 「何もしてなくはないだろう」 そう言って公安は1枚のパソコンから出力された写真を見せつけられた。 証拠はすでに揃っているということだろう。 写真には山下公園で、灰色の海に向かって小箱を構えるアオの姿が、明確に写されていた。 写真を突き付けられて、アオはため息を漏らす。 「シロダ教授の弔いですよ。……もうすぐ教授の命日ですからね」 「では、この小箱は何だ?」 「だから弔いですよ。……そして償いです」 「償いだと?」 公安の睨みが強くなる。 アオは深呼吸して怒りを落ち着けた。 無機質な天井を見上げる。 「そう。償いですよ。……あなた方の言うとおり、僕はシロダ教授とともに夏を消し去ってしまった。それを償おうと、そういうことです」 「何をした?」 公安の言葉に、アオはクスッと笑った。 からっぽの微笑みだ。 「夏が消えたのと同じことです。夏を取り戻しただけ」 そこで男が一人、部屋に駆け込んできた。 男はチラリとアオを睨んだ後で、黒スーツの公安に何かを耳打ちする。 途端に公安の顔色が変わった。     
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