2045年7月 東京

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「君の研究室を調べさせてもらった。結果、例のナノマシンに似たタイプを製造した痕跡が見つかったそうだ」 アオは黙って微笑んでいる。 そんなアオの様子に、公安は苛立ちを隠せなくなっていた。 「あの箱の中身は何だッ?」 公安が勢いよく机を叩く。 「成功すれば1年後、夏が来る。そこまでが僕の償いです。……その後は、あなた方、理不尽な世界で勝手にやればいい」 「拘束させてもらうぞッ。全て吐き出すまで帰れると思うなよッ」 叫ぶ公安に向けて、アオは大いに笑った。 1年後に夏が来る。 もう、思い残すこともない。
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