夏子

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家に帰っても気を使われて、他人の家に帰っている気になった。 帰りたいと言えなくなった。 日曜日に天気が良いと青い空が羨ましくなり悔しくなった。 私には切り取られた青空しかないのに、妹は広い空の下、スポーツをしていると思うと、羨ましいのと、同じ人から産まれて来たのにという考えても仕方のない事まで考えてしまった。 嫌な自分になっていった。 今日からは違う。 あの人が、背中に青空を背負う眩しいあの人が私に目標をくれた。 居場所を与えてくれた。 来年、あの応援席に私はいるのだ。 そのために今できる事をしなければいけない。 きちんと薬を飲み安静にして、体力をつけるよう努力する。 何年も入院生活なのに、これを1年で、少々無謀な気もした。 それでも夏を私も目指した。
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