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可愛い子はそれからも沢山いた。
気の合う子もいた。
でも、友人の一人、その枠から出る事はなかった。
俺が頑なに拒否しているわけではない。
どうしても、あの夏が忘れられない。
俺よりもショックな顔をして、涙を沢山流して、ぐちゃぐちゃになったあの顔が、どんな綺麗な子よりも、可愛く思えてしまうのだ。
時に時間は、風景を美化させるのかもしれない。
夏子にハガキを書いた。
夏の終わり。
「暑いな?元気か?
夏子だからな……夏は平気だよな。
大学でも野球サークル入ったよ。本格的じゃなくてさ、観戦に行ったり、軽い草野球したりね。それでも、野球好きだって、再認識してるとこだ。
夏バテ気をつけろ? またな。 佐伯徹。」
何を書いていいか分からずに、短い文章になった。
何が伝えたいのかも、分からない文書。
「大学生が書く文章じゃないな…。」
苦笑して、ポストに投函した。
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