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葉書は、特に決まった日に来るわけではなく、続けて届いたかと思えば、1週間来なかったり、それでも、空いても1週間、それ以上間隔が開くことはなかった。
内容は特に難しい事でもなく、大学生活や身の周りの出来事。
徹くんの何気ない日々の話だ。
「夏子ちゃん、お待ちかねの葉書だよ。」
と、言われて葉書を渡される。
「別に…待ってないですよ?勝手に配達されるだけです。」
意地をはって答えると、笑いながら、
「でも、配達された物は見ないとね?」
と、言い、テーブルに置いて出て行く。
飛び付いて葉書を取り、裏を見る。
「夏子、元気か?俺は元気!」
(でしょうね。)
くすりと笑う。
「秋になって来たな。朝起きると結構、寒い。水も冷たいし、最近、朝寝坊でさ、朝練の時、よく起きていたなと、自分で感心してるよ。」
(サボり癖がついたんだね?)
「大学のサークルで草野球の試合するんだ。体が鈍ってるからジョギング始めたよ。夕方に…。朝は起きられないから…。
試合結果、また報告するな。勝てる様に祈っててくれ 徹」
「草野球か……。ほんと野球好きだね。」
変わらない君がそこにいる。
真っ直ぐで何でも一生懸命……そして、逃げている私が鏡に映っていた。
(偶然でも、何処かで徹くんに会った時……恥ずかしくない自分でいたい。)
もう一度、決心をした。
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