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白い
「おはようございます。」
君が朝早く来て去った後、私の部屋はただ白い。
壁も私も、何もかも白い。
白過ぎて、目眩がする。
「毎朝、挨拶をしてくれる男の子はどなたですか?」
興味で聞いてみる。
「お母様が入院されていて、毎日お顔を出されてますね。甲子園を目指してるそうですよ? すごいですよね。」
そう教えてくれた。
眩しいのは君が輝いているからなのか?と思ってしまう。
私はこの世界しか知らない。
時々来る両親と先生。
時々来る人は、あまり良い言葉を発したことがない。
まだ名を知らない彼の、
「おはようございます!」
の、なんと爽やかで気持ちのいい言葉だろう。
毎朝胸に染みいる。
切り取られたあの窓の青い・・ただ青い絵のようだ。
どこまでもただ青く、澄んで胸に染みいる。
白い壁さえ、ブルーに変える。
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