0人が本棚に入れています
本棚に追加
眩しい太陽に照らされて、すぐそばに生えている大木の木の葉が小さな影を作って、真っ白い白鳥のような美しいグランドピアノと、鍵盤を弾くわたしを見守っているみたい。
不思議な場所で、不思議なピアノで、わたしは不思議な曲を演奏しているのだけれど、こんな広いところじゃちょっと寂しいわね………。
考え込みながら目を閉じると、すぐに、お客さんがやってきた。それも、空からの豪華な聞き手さんだ。
バサバサと、沢山の翼を瞬かせて、数え切れないほどの小鳥さん達は木の枝にとまって一心不乱にわたしの演奏を聴き始めてくれた。
お客さんは、それだけではなかった。遠くから、何か足音が聞こえると思っていたら、犬や猫、さらにリスや狐、サル、トカゲ、さらに、ミツバチやチョウチョまでもが、わたしの演奏に聴き入ってくれた。
とっても長い、わたしだけのコンサートが始まった。
ピアノの好きな所は、どんな、音の想いでも表現できる所。
例えば悲しい時は、闇に沈んだような、静かな、弱い音。
楽しい時は、ワルツみたいに弾んで、たまに跳ねちゃって、踊りだしたくなる元気な音。
どんな感情だって、ピアノは表せる。
……ううん、グランドピアノやアップライトピアノだけじゃないわ。わたしが昔から練習してきた時にお世話になってる電子ピアノも、その音を出す練習にぴったりだ。
最初のコメントを投稿しよう!