記憶の青

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「状態」 「まだ、命があった」 「他はダメだった」 「全滅だ。恐らく、精神が先にダメになってしまったのだろう。その分でいえば君は持久力があった。素晴らしいことだ。でも君はあの時、遺すものの手紙を書いていた。助けた後から知ったのだけれど。助けては、迷惑だったかな」 「助ける意思に、迷惑はない。大丈夫。私は死にたかったわけではなかったから。…点滴。これは、貴方たちの技術?」 「点滴と言うのかい。これは」 ぽたぽたと垂らしているものをじっと見る。言語を持たないらしきことを先程言っていたから、固有名詞には更に疎いのかもしれない。ただ、自分が点滴と思ったこれは、日本の病院で見るそれと、かなり見た目も仕組みも似ているようであった。 「そう。病院、……貴方のように、親切に、治してくれようとするところの…そこにある点滴に、よく似ている」 「治すためのところがある」 「そう。他にも、悪い人たちを捕まえるところ、大切なものを置いておくところ、住むところを探すところ。ただそれだけをするところが、いっぱいある」
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