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それが地球だ。そう言おうとした時に、なぜ、地球のことを知らないのだろうという疑問がふっと湧いて来た。私がいたところは地球からはそう遠くない。彼は、地球の側を通っている筈だ。気づくのがおくれて、しまったという顔をしたのが伝わったのか、彼はまた瞬きをして、すっと顔を近づけた。
「痛いところは」
「痛くない。居たくない、のほうが、近い」
「なにが悪かったのだろう。君は突然に、ここに居たくないと言った。なにか、怖がらせたかな」
「地球は、地球は。近くにあったでしょう」
「地球。…地球。聞き覚えがない。でも、近くに、爆発した星は、ある。もしかしたら、それかもしれない。それは、太陽の近くの星」
「そう。私は、そこに帰りたい」
「帰る。でも、いま、その星は、案内に映らない。映らない星は、つまりは、存在しない。元からない、もしくは、無くなってしまった」
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