これは兄の実話です。

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夕方まで迷い続けたが、ある農家の人が話かけてくれ、ばあちゃんの家まで送ってくれたので助かった。そのとき飲んだ水と食べたおにぎりのおいしかったこと。俺とポチャはあわせて十四個おにぎりを食べた。俺とポチャはコンビになった。 喧嘩したこともあった。俺が中学に入ってバスケ部に入った時、ポチャが俺のバッシュ(バスケットボール用のシューズ)をかんで駄目にしてしまった。おれは一週間ポチャのことを無視した。一週間たって、ポチャへの怒りが消え、ポチャに骨をやったがポチャは食べなかった。ポチャはそれから一週間おれの手から物を食べなかった。今思うとそれはポチャの仕返しだったのだと思う。 あの時はポチャに助けられた。それは俺が中三で受験まっただなかの時だった。俺はいつもいらいらし、神経質になっていた。そんな折、気晴らしにポチャと散歩に出かけた。いつもと違う道をなんとなく歩いていたらポチャがいきなり動きを止めた。そこは今まで行った事のない公園の前だった。おれとポチャはその公園に入り適当に散歩したが、ポチャがすべり台にのぼりたがった。すべり台に上って景色を見ると、大きな夕日が空に昇っていた。その景色をみるとなんだかいらいらした気持ちがすっと消えた。 ポチャお前を忘れないよ。 俺はポチャの骨を少しかじり飲んだ。これからも一緒だよ。 雪が降ってきた。ポチャ、雪みたいに真っ白だったお前。お前が降ってくれればいいのに。俺の目から雪みたいに冷たい涙が頬を伝った。
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