穀雨

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「やってしまいました。ごめん……」と華。 「まあこんなこともありましょう。んー、取れそうだけど、なにか棒みたいなものがあれば!」  倉庫の屋根は3m程の高さ。ボールは屋根のふちにひっかかっていた。 「早希ちゃん、倉庫の中にポールみたいなものあるかな?」 「ありそうだけど、鍵かかってるもんねえ」 「私、職員室で借りてくる。早希ちゃんはここで待ってて」 「待って、華! ここの鍵は校務員室に行かないと借りられなくて、しかも運動部じゃないと借りられないんだよ」 「なんでそんなこと知ってるの?」 「私もあそこにボールをのせちゃったことがあるからさ!」  早希は胸を張って言った。 「そんな堂々とされても……。でも困ったね。都合のいい木の枝とかもないしなあ」 「ちなみに前にのせたときはバレー部に謝りました。できることならもう謝りたくないけど、仕方ないか!」 「ごめんね、早希ちゃん」 「連帯責任、連帯責任」と、何故か嬉しそうな早希。
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