穀雨

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 間違いない。慶くんは運動もきっとすごく得意なんだ。身長も高くて、かっこよくて、綺麗で、物静かなのに。私とは違う世界の人みたいだな。どこかの国の王子様だ、って言われても信じてしまうかもしれない。  王子様の格好をする慶を想像して、華は笑みがこぼれた。  いやいや、王子様とか。私は頭の中も幼いのだろうか。もう高校2年生だというのに、お花畑な考え方は卒業しないと。 「華、なに1人でにやついてるの……」  早希が少し引きながら言った。 「えっ、ごめんごめん。気にしないで!」 「ま、まあ、そういうお年頃ってことかな……。とにかくスパルタ教育、はじめるよ!」 「……うん」と恥ずかしそうな華。  早希の早希による華のためのスパルタ教育はその後2時間続いたのだった。
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