喫茶店

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 華は喫茶店の前に立っていた。走ってきたせいで、息が上がっている。  今、19時40分。20時closeとドアに書いてある。閉店まで20分か。いや、そもそもここに慶くんがいるはずない。5年前の言葉だもの。きっと慶くんはそんなこと忘れてるよね。  でも、もしかしたら。  華は意を決して喫茶店のドアを開けた。あの時と変わらない、カランカラン、という鐘の音が響く。 「いらっしゃい」お婆さんの店主が声をかけた。  華は店内を見渡した。  すると。
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