第4章 おわりとはじまり。

4/93
前へ
/301ページ
次へ
仕事帰りに駅前の居酒屋に入る。 チェーン店ではないので、少しだけお高いが、個室みたいになっていて、話がしやすい。 もう2人とも若くないので、賑やか過ぎるところは苦手なのだ。 そんな店で、美波の怒った声が響く。 「キスさせなかったって?!あんたねぇー」私は唇に指を当てて、シーッと言って、 「美波、声が大きい。」 「な・ん・で?。ナナコはリュウの事が好きでしょう?」と当然のように聞く 「わ、私が、リュウを好きだって言った?」 そんな事はみればわかるでしょ。とアッサリ返される。 「リュウに恋人がいるかもしれないのに、…そんな事は出来ないよ」と言うと、 「他に恋人なんて、いるわけないでしょう! …もしも、もしもよ、リュウに恋人がいたとしたら、 ナナコはリュウを好きにならかったの?」 「…好きになったと思う。 でも…恋人がいたら、好きになっちゃいけないって思ってる。」と今の気持ちを言って、 「まだ、失恋する準備が出来てないの」と小さな声で続けた。 「もー!!焦れったい!! なんで、お互い好きなのに、気持ちを伝え合わないかな? リュウも、修一君に遠慮し過ぎだって!」と、かなり興奮している。
/301ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7858人が本棚に入れています
本棚に追加