第4章 おわりとはじまり。

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リュウと話し合わなければ… と思っていても、リュウは少しよそよそしくて、無口で… なんと話を切り出していいのかわからない。 リュウもなにかを言いかけて口を閉じてしまう、 という様子がつづいている。 お互い上手く話が出来ずにその週も過ごしてしまいそうだ。 あと、2週間でリュウは引っ越していってしまうのに… 私はなんで勇気がでないんだろう。 …わかっている。 私はリュウを失いたくないのだ。 木曜日。 勤務の合間に 「ナナコ、今度の土曜日の飲み会、人数足りないから、強制参加ね。 夜はリュウ先生もいないから暇でしょう?」と美波が言う。 暇だって決めつけないで欲しいな。 作り置きのおかずを作っておくのは今や、大切なお仕事なのだ。 毎週火曜日は誰かしらやってくる日になっているのだから。 来週は婚約したての桜子先生と、山岸さんを招き、4人で食事をする予定だ。 2人のお祝いにリュウが、贅沢なお惣菜とケーキも用意することになっている。 ふたりの婚約の事はまだおおやけにはなっていない。 東野家の長女の結婚は結構大変なのだ。 でも、桜子先生と山岸さんはやっと並んで歩けるようになった。と嬉しそうだ。 私と、リュウはまだぎこちないままだ。 火曜日に桜子さんに会ったら、なにかあったの?と聞かれそうなほどだ。 意識すれば、する程、ギクシャクしてしまう。
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