第1章 思いがけない再会。

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「もう、ここに住むって決めてるじゃん。」と、私が呆れると、 リュウは嬉しそうにうなずく。 「一緒に住んでいるのが周りに知れたら、どうするの?」 「俺が押しかけたってちゃんと言う。」 そうじゃなくて、 「恋人だって思われたら?」 「ナナコ、好きな男がいるの?」 私じゃなくて、あなたが困るんじゃ、ないんですか? 「今はいないけど、」 「10月に俺は出て行くから、それから、他のオトコと付き合えばいいじゃん」 「リュウは?」 「この前も言ったけど、ナナコは自分の事だけ考てほしい。 ナナコ、コーヒー飲む?」 「…飲む」と私は答える。 リュウは自分の家にいるように、お湯を沸かし始めた。 もう、ここに住む事は、リュウの中では決定事項で、 私には、どうにも出来ないのだとだんだんと理解してきた。 リュウの人並み外れた行動力は私の想像を遥かに超える。 コーヒーのいい香りが私の心を落ち着かせる。 やれやれ。 「…ルールを決めるから、ちゃんと守って…」と手を洗うために洗面所に向う。 リュウはガッツポーズをして、後ろを向いた私に抱きついた。 「こら!まずは抱きつくの禁止!!」私の顔が赤くなる。 「ありがとう。ナナコ」 ともう一度ギュッとハグしてリュウはコーヒーの続きを淹れにキッチンに戻った。 ああ、もう! また、リュウの思い通りだ。 今まで悩んでいたのが無駄になったな と、私は急に可笑しくなって手を洗いながら声を出さずに笑った。
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