お稲荷さん

5/5
60人が本棚に入れています
本棚に追加
/62ページ
 今日はいい天気だから、きっと月がよく見えるはず。日が暮れて月が出たら、お月見お団子のかわりに作った、白玉団子を持ってこよう、と時羽は思った。  白玉には豆腐を練り込んであるので、ふわふわに柔らかいはずだ。時羽は白玉にあんことアイスを添えて、ミニデザートにしようと思っている。サプライズのデザートに、皆が瞳を輝かせる顔が目に浮かんで、時羽はこっそり微笑んだ。  しかし残念なことに、時羽は自分がいない間に、さつきとおねえが白玉をつまみ食いしてしまい、白玉の量がかなり減ってしまっていることをまだ知らない。  白玉を盛り付けようとして、数が足りないことに気が付いた時羽が「もうっ。白玉を食べちゃったのは誰ですか!」と問いただすのはもうすぐだ。  しかし、さつきとおねえが「ゴメンゴメン、美味しそうだったから」などと白状するのを聞くと、時羽は笑って、追加の白玉を茹でるだろう。  コビトの館の庭には、笑い声に満ちた時が流れていく。  ゆっくりと夕闇が降りてくる。  そして小人の探偵事務所は、また暇になった。          おわり   『小人の探偵事務所は今日も暇です』を、最後までお読みいただき、ありがとうございました。  心より感謝申し上げます。    本当に本当にありがとうございました!            秋月一花      image=512178824.jpg
/62ページ

最初のコメントを投稿しよう!