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今日はいい天気だから、きっと月がよく見えるはず。日が暮れて月が出たら、お月見お団子のかわりに作った、白玉団子を持ってこよう、と時羽は思った。
白玉には豆腐を練り込んであるので、ふわふわに柔らかいはずだ。時羽は白玉にあんことアイスを添えて、ミニデザートにしようと思っている。サプライズのデザートに、皆が瞳を輝かせる顔が目に浮かんで、時羽はこっそり微笑んだ。
しかし残念なことに、時羽は自分がいない間に、さつきとおねえが白玉をつまみ食いしてしまい、白玉の量がかなり減ってしまっていることをまだ知らない。
白玉を盛り付けようとして、数が足りないことに気が付いた時羽が「もうっ。白玉を食べちゃったのは誰ですか!」と問いただすのはもうすぐだ。
しかし、さつきとおねえが「ゴメンゴメン、美味しそうだったから」などと白状するのを聞くと、時羽は笑って、追加の白玉を茹でるだろう。
コビトの館の庭には、笑い声に満ちた時が流れていく。
ゆっくりと夕闇が降りてくる。
そして小人の探偵事務所は、また暇になった。
おわり
『小人の探偵事務所は今日も暇です』を、最後までお読みいただき、ありがとうございました。
心より感謝申し上げます。
本当に本当にありがとうございました!
秋月一花
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