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君子は康介の人の好さそうな色白の細い顔を見つめた。
「・・・それだけ・・、ですか?」
「それだけです」
「・・・」
「私はこの巨大な家を相続したのですが、一人で住むには大き過ぎる。しかし、売りに出しても買い手が見つからない。しかし、ほっとくわけにもいかず、住み着いたというわけです。しかし、あまりに巨大だ。一人で管理するのは難しい。さっきも言いましたが、体も弱い。だから、掃除してくれるお手伝いさんが必要だった」
「それが私・・」
「そう」
康介はその人の良さそうな顔にこれまた人の好さそうな笑みを浮かべた。
「私はここの土地の人間でもないので、どこに頼んでいいのか、募集を募っていいのかも分からなかったので、近くの電柱に手書きの貼り紙を貼ったのです」
「そして、私が電話した」
「そう、あなたから電話が来た」
「・・・」
「はははっ、最初電話が来た時は、正直びっくりしました。全く期待していなかったので」
康介は陽気に言った。
「君子さんがいらした後も何件か電話がありましたよ。それはもちろん全部お断りしましたが」
「・・・」
君子はなんだか複雑な思いでそれを聞いていた。
「あの・・」
「はい」
「私でよかったんでしょうか」
「何がですか?」
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