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「橋本さん、これを着て」と店長に迫られた。
「え?で、でも、恥ずかしいです」
「何を今更言ってるんだ。約束たろ?」と、また店長が迫ってきた。
橋本 千明は、恥ずかしそうに「で、でもこんな姿が私と知れたら…」と制服の裾をいじりながら躊躇している。
「誰も君だって分からないよ。さあ、お客さんが待っているから」店長は腕時計を確認した。
千明は決心したように「分かりました。乙女を捨てます」と唇を噛み締めた。
「じゃあ外で待ってるから」そして店長は部屋を出て行った。
「大げさなんだよな、全く」と店長がドアの前で待っていると、青い着ぐるみのウサギが出てきた。
今日はスーパーのチラシ配りで、千明が着ぐるみを着て、配る担当であった。
青いウサギは、このスーパーのマスコットなのだ。
「ああ、何か頭が重い。息苦しいし、早く終わらないかな?」などと思いながら、千明はチラシを配っていた。
すると友達の加奈子が、恋人と歩いてやって来た。
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