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彼氏はイケメンだ。
千明はそれとなくすり寄って行き、チラシを渡す振りをしながら、彼氏をベタベタ触っていた。
加奈子は「何よこのウサギ、馴れ馴れしいわね」と彼氏を引っ張って何処かへ行ってしまった。
「加奈子には勿体ないくらい、いい男だわ」などと遠目で見ていた。
すると「痛っ!」誰かに頭を叩かれた。
振り向くと、店長が竹刀を持って立っていた。
「何で竹刀なのよー!」とぼやく千明に「何をぼうっとしてるんだ!さっさと配れよ!」と店長が怒っている。
「分かってますよ」と千明は再び配り始めた。
すると今度は、母親と小さな男の子が近づいて来た。
「わあーっ、うさちゃんだ!」と嬉しそうにはしゃいでいる。
千明は、キッズ用の風船を渡した。
「まあ、良かったわね」と母親が男の子の頭を撫でた。
「うん。でも、このうさちゃんポッチャリだね」と悪気の無い子供の言葉に、千明はカチンときた。
親子が後ろを向いた時、ハサミで風船の紐を切ってやった。
「うわあーん!風船があー!」と男の子が大泣きした。
着ぐるみは皆んな、ポッチャリなんだよ。
そうしていると、今度は小さな女の子3人組が、固まって走って来た。
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