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「うわあー可愛い!」と千明の右手を、3人が一斉に引っ張り出した。
「ちょ、ちょっと、痛いわよ!」千明はたまらず、肩のホックを外した。
するとウサギの右手だけが、ドサッと落ちた。
「うわあーん!怖いよおー!」と3人は、泣きながら何処かへ行ってしまった。
やれやれと、千明が右手を拾おうとすると、誰かがそれを掴み上げて、千明の頭をその右手で叩いた。
「痛っ!」見ると店長だった。
「子供を怖がらせてどうすんだよ!客が寄り付かないだろが!」
すると千明は「じゃあ店長が、見本を見せて下さいよお」と言い寄った。
チラシ配りに見本もクソも無いのだが「じゃあ変われ!俺が見本を見せてやる!」と店長も後には下がれない。
更衣室で、着ぐるみを脱ぎながら千明は「腰が繋がってるから動きにくいのよね」と腰の部分を切り取り、糸で何か所も繋ぎとめた。
「これで良しっと!歩きやすくなったわ」
そして店長がそれを着て、店頭に立った。
「どうですか?店長。動きやすいでしょう」
「まあな。でもお客さんに喜んでもらうのが第一だ」と相変わらずだ。
するとそこに、突風が吹いた。
途端に上の方で、メキメキと大きな音がした。
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