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受け付けに戻ると、参列客がぞくぞくと集まっていた。その中にはかつての同僚たちの顔もある。彼らは驚きながらも、しんみりとした口調で言う。伊坂さん、羽柴くんと仲良かったですもんね。誰も知らない。羽柴蒼司と私の関係。彼が私に何をしたか。
私の呪いは成功した。羽柴蒼司は一人で死んでいった。自業自得だ。そう思うのに、私の胸はチクチクと痛む。私は低く喘いで、胸元をぎゅっと握りしめた。
私の胸元には、まだ青い薔薇が咲いている。私が唯一愛した男によって刻まれた薔薇が。それは私が生きている限り、この胸に痛みを与え続けるのだ。
蒼司。
私はもうこの世にはいない男の名前を呼んだ。デスクに飾られたありえない色の薔薇を思い出す。あれは彼の愛だった。たとえ歪んでいたとしても、私にだけ与えられた愛だったのだ。
失った青が視界を歪ませ、決壊して床に落ちた。
青い薔薇を拒む/end
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