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4 走れ!走れ!走れ!
庭から和室を覗くと、木製の箪笥と大きな仏壇が置いてあり、仏壇の前におちょこが供えてあった。
仏壇に飾られた写真は人のよさそうな老人で、恐らくここの主だと推測出来た。
左側の奥にはちゃぶ台が有り、台の上に液晶画面をこちらに向けたノートパソコンが置かれている。
遠目からで見づらいがモニターには地域の様子を映したストリートビューが表示され、横のスロットには無線用のUSBが差し込まれている。
そしてパソコンの脇に、小型のトランシーバーが置いてあった。
丸い背中を見せていた一人の老婆が、パソコンの前から立ち上がりこちらへ来る。
その姿は童話に出て来る小人を思わせた。
「あい、あい、なんでしょう? 滅多にお客さんなんて来ないんで、おもてなし出来なくて、すみませんねぇ」
十和田は手っ取り早く本題に入る。
「あのぉ、こちらで無線機か何か使っていませんか?」
「あい?」
老婆は耳が遠いようで、こちらに耳を付き出す。
十和田はパソコンの脇に置いてあるトランシーバーを指差し、彼女の許可を得て借りた。
彼はトランシーバーを手に取り電源を切ると、裏側のラベルやフタを開けてバッテリーを一通り見る。
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