第4章 風

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「スミマセン!!俺の失敗でご迷惑おかけしました!!」  譲二が芽亜里に頭を下げた。 「いいんです。たまにあります。そういう事も。尾行がばれるというのは時々ある事なんです。まあ、大手の事務所なら調査員が多数いるのでばれないんですが、しょうがないですね。」  芽亜里が溜め息をつきながらお茶を飲んだ。 「どこでバレたんですか?」  俺が訊くと譲二がしばらくの沈黙の後に言った。 「保育園の側で張っていたら、子供に指差されて・・・・、騒がれました。」  コーヒーを持ってきた金森さんが笑いながら訊いた。 「近すぎたんでしょう?車の中で張るとかできなかったの?」 「園の中の様子が見たかったんですけど、全然分かりませんでした。孝夫さんが出て来て俺が取り押さえられて・・・・、藤木田探偵事務所の人でしょうって言われて・・・・。」 「まあ、尾行は出来なくなりましたから、周辺調査のみになります。孝夫さんは調べられてる、と気付いていますので動きはないでしょうから。最後の望みは山岸栄太さんだけになりましたね。」  
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