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「伊藤久雄さんの話は、何だか美紀さんが亡くなった時と似てますね。」
助手席の俺は後部座席の芽亜里に言った。
「ええ・・・・、そんな短期間で亡くなったというのは癌でも不自然な感じですね。何か人工的なものが関わっているのかもしれません。人物が特定できれば調べようもあるのですが。
久雄さんの日記が出て来ると何か分かるかもしれません。」
俺は前に向き直って芽亜里の溜め息を聞いた。
「殆ど行き詰まりですね。他に何か打開策がありますか?」
俺が言うと芽亜里は沈黙したままだった。
「美穂さんから何か連絡はありましたか?」
俺の質問に芽亜里はカバンのポケットを探ってスマホを出しながら、ええ、と返事をした。
「美穂さんは札幌で仕事を見つけたそうです。お友達の所で居候しながら新しいアパートを探しているということです。
孝夫さんには離婚の意思はない、という事と美穂さんの依頼がバレてしまった事を伝えました。
美穂さんは、時間がかかってもいいですよ、と言ってくれました。」
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