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 俺は、この時代の千年後の世界から来た。俗にいうタイムトリップというやつだ。  偶然、時空の狭間に迷い込んだわけではない。意図して時空を越えた。  政府に無断で時空を越え、時の流れを変えようと企む者――無法トリッパーを始末するのが俺の仕事なのだ。  この仕事を生業とする者は、審判者と呼ばれている。審判者なんて仰々しい名称だが、やっていることは人殺しだ。  捨て子だった俺は、生まれた時から専用の機関で育てられ、暗殺のノウハウを教え込まれた。  審判者の大半は、俺と同じ捨て子だ。社会から選ばれなかった者が審判者になるのだ。  今回でタイムトリップは三十回目だったが、新開発された腕時計式トリップ装置の不具合か、指定地点から一キロほど離れた場所に落とされた。  そこは湖だった。事態を把握する前に大量の水を飲み、溺れかけながらもなんとか岸に這い上がった。  だが、トリップの疲労もあり、上半身を上げたところで意識を失ってしまった。
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