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2つに結んだ髪を触る。少し子どもっぽかったかもしれない。けれど、こうも暑いと髪を下ろすのは避けたい。かと言って、アップにするには道具とスキルと髪の長さが足りない。
髪飾りを金のラメの入ったシュシュにして、耳にイヤリングをつけることで、なんとかオシャレ感をプラスした。
(警察の人になんか言われたらどうしよう……)
ついつい辺りを見回してしまいそうになるのをグッとこらえる。
(ダメダメ。堂々としてれば大丈夫って言われたじゃない)
彼がいれば、この不安な気持ちも吹き飛ぶだろう。
早く来ないかな。
三度、辺りを見回すけれどまだ来ない。泣きそうになる。
(来た時のこと、考えよう!)
出会えないかも、という不吉な想像を振り払うにはそれしかない。
彼はどんな服装で来るだろうか。愛莉は浴衣にしたかったけれど、一人では着られなかったのと、家にある浴衣は金魚柄でなんだかお子様っぽかったのもあってやめた。
自分の持っている服も見れば見るほどどれも子どもっぽくて、姉の服を黙って借りた。バレたら壮絶に怒られる。
(いけない、いけない)
どうしても思考がネガティブな方へ進んでいってしまう。
楽しいこと。楽しいこと。夜のお出かけ。二人きりでデート。
デート。
でーと。
そう、これはデートだ。
頭の中で反芻して、きゃーと悶える。
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