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そうか、これがデートかあ。小説や漫画でしか見たことなかったけど、デートってこんな感じなのか。
愛莉は一つ大人になったような気分になる。
今度、デートする漫画を読んだ時には、ふふふん、という気分になりそうだ。
私も、もうデートしたことあるよ!
声を大にして言ってみたい。
賑やかな屋台。火薬くさい熱気。美味しいものを一緒に食べて、花火を一緒に見上げて。だんだん楽しくなってきた。
(来たら、なんて言おう)
半べそで「遅いよー」とこの不安を伝えてみようか、「事故じゃなくてよかった」と上目遣いで見上げてみようか。「かき氷奢ってくれなきゃ帰る」って怒って見せてもいいかも。
もうすぐ、待ち人も来るはずだ。
○△○△
花火会場まで小走りして来る人影が3つ。
智也は自分の待ち人かと思って、顔を上げる。
1人はメガネの男の子。スラッとしたジーンズと黒いシャツに木製のペンダントを合わせている。フレームのないメガネが真面目さを出していて、それが洋服となんとなくアンバランスだが、一生懸命選んで着たのだろうと思うと微笑ましい。
「もう、待ちくたびれたよー!」
メガネの男の子は膝に手をついて、「ご、ごめん」と息も切れ切れだ。
「珍しいじゃん、どうしたの?」
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