第一話 出会い

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 女子高校生のような出で立ちでありながら少女は右手に小太刀、左手にUの字をした銀色に輝き夕日を跳ね返す音叉のような物を持つ。  空中に浮かぶ手首より幻想的な少女はトンと音叉で空気を叩いた。  何も音はしない当たり前だ。  だが少女は構わず二度三度と音叉で空気を叩いて回り出す。  旋回する軌道で小太刀を振るう。  舞いを踊るように少女は音叉を振るい小太刀を払う。  何の意味があるのかは分からない、分からないが心は綺麗だと感じた。 「綺麗だ」  俺が呟き音叉が振るわれたとき。  プーーーーーーーーーーーーーーンと小太刀が共振をした。  トンと音叉を振るえば小太刀が共鳴し、共鳴した小太刀が空気を切り裂く時。  世界に美しい、一音が響いた。  それはトライアングルのような音。  一音響いて、舞い踊り、二音が響いたときには旋律が紡がれ出す。  少女は可憐に踊り、旋律を奏でる。  幻想的に硬化質。  例えるなら雪国の夜。  降り積もり雪原。  風も無く冷たく静寂に包まれ空気さえも凍り付き。  ただ月だけが楚々と月光を降らす。  時さえ凍り付き空気すら砕ける。  そんな幻想が浮かんでくる。 「雪月流、風凍る夜」  少女が舞いを踊りきり、そう宣言をすれば。  右手に持つ小太刀が振動し銀光に輝く。 「参ります」     
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